贈与の登記 親と子の利益相反

(問題)

親権者が、その親権に服する未成年者に対し、親権者を債務者とする抵当権設定の登記がされている親権者所有の不動産を贈与し、その登記を申請する場合には、未成年の子のための特別代理人の選任書を添付しなければならないか?

 

(解答の手順)

親権者と未成年の子との利益相反行為については特別代理人の選任を要し、それに伴う所有権移転の登記申請には未成年の子のための特別代理人の選任書を添付すること要する。

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しかしながら、親権者が、その親権に服する未成年者に対し、親権者を債務者とする抵当権設定の登記がされている親権者所有の不動産を贈与することは、負担付き贈与ではないので親権者と未成年の子との利益相反行為にあたらない。

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すなわち、親権者の債務を、未成年の子の所有する不動産によって担保されることになるが、これは贈与を得た結果であって、(贈与を受けない場合と比べれば)未成年の子に不利益はないので、負担付き贈与にあたらず、親権者と未成年の子との利益相反行為にあたらないのである。

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よって、本件所有権移転登記を申請する場合には、未成年の子のための特別代理人の選任を要せず、その選任書を添付することは要しない。